放課後の気づき
最初は、誰も勝つための力だと思っていなかった。放課後の校舎は昼間より少しだけ音が遠く、顧問だけが残したカードの束の前で、四人は自分たちに宿る小さな「超能力」に気づいた。
未来を読む者、相手の手札を見抜く者、カードを移す者、幸運を引き寄せる者。日常を壊すには弱すぎる力でも、誰かの沈黙や嘘を暴くには十分だった。
裏部活「放課後超能力部」
誰にも言えない力を持つ彼らは、ひっそりと裏部活を作った。笑ってごまかせるほど軽くもなく、誰かに誇れるほど綺麗でもない力を、ポーカーのルールへ押し込めるために。
ルールはひとつ。「能力は、勝負を壊さない範囲で使うこと」。破れば勝てる。けれど破った瞬間、勝った理由も、負けた相手の顔も、自分のものではなくなる。
失踪と招待状
ある日、彼らを見守っていた顧問の先生が、全員集合の連絡を残したまま姿を消した。部室の時計だけが動いていて、いつもの椅子には誰も座っていなかった。
机の上には、トランプのジョーカーと一枚の招待状。封の端だけが少し折れていて、顧問が最後まで迷っていたように見えた。
「学園対抗ポーカー・トーナメント開催」
優勝者には、望む答えが与えられる。先生は謝罪ではなく、問いを残した。行方の手がかりはそこにあるらしい。けれど本当に欲しいのは答えなのか、それとも戻ってきた先生を責める場所なのか、四人はまだ言葉にできなかった。
選択の時
参加できるのは、各学園から四名のみ。
誰が行くべきか。信じるのは誰か。ルールの中で、能力はどこまで許されるのか。答えを急ぐほど、互いの沈黙が気になり始める。選ぶのは強い能力ではなく、どの後悔を表に出して卓へ座るかだった。
テーブルへ
そして、勝負の時が来た。会場の扉の向こうから、チップが触れ合う乾いた音が聞こえる。
それぞれの想いと、隠した手札と、見えない未来を胸に。四人はまだ、先生が何を試そうとしているのかも、勝った先で何を失うのかも知らない。
運命は、テーブルの上で配られる。けれど、選ぶのはカードだけではない。